PGTC ファイナルラウンド
前触れもなく始まったPGTCもオープニングラウンドから数えてはや半年。ついにファイナルラウンドを迎えることとなり西は九州、東は関東からと事前エントリーでは今期シリーズで最多となる97名がエントリー。しかしレース当日の予報は雨模様、それでも80名近いレーサーが奈良県のO.S.フィールドに集結した。



中低速レイアウト
このO.S.フィールドは1/10GPツーリングカーでは十分な長さのバックストレートと連続するテクニカルな中低速コーナーとで構成されている。この連続する中低速コーナーの攻略がポイントとなりそうだ。しかしコーナーを攻めすぎると縁石に乗り上げてしまうとスピンか運が悪ければ転倒。連続するテクニカルな中速コーナーを如何に上手くまとめるかでタイムに大きな差が出ることは間違いない。
また11月ともなれば日没も8月、9月に比べ2時間以上短くなっており、そのため予選2回、各決勝レースも時間短縮された。これはドライバーにとって予選でのミスが致命的となり、決勝での勝ち上がりも難しくなるはず。これはどの選手にとっても同じ条件。こういった逆境をいかに克服するかもドライバーの力量であろう。このような状況下でついにPGTC最終戦が開始された。



ここまでのランキングポイント
気になるポイント争いは嶋崎(MTX4R/NOVA)、高畑(V-one/O.S.)の両選手が同ポイントでトップ。続いて3番手にはトップから7ポイント差で藤田選手(NT1/PICCO)。4番手には寺内選手(733/NOVA)がトップから10ポイント差と僅差。S733で参戦しているワークスの佐橋(兄)(MEGA)弟(PICCO)と松田選手(PICCO)はシリーズランキングの上位に入り込もうと中低速コーナーに焦点を合わせたプロトタイプのオリジナルシャシーを投入してレースに臨む。
予選1ラウンド
まずは第1ラウンド1レース目に岡山の西山選手(NT1/O.S.)が予選終了間際に16秒409というラップタイムを出すものの、序盤の安定しない路面コンディションのために14周どまりの結果となる。続く2レース目でも森村選手(MTX4/O.S.)が果敢にタイムアタックするが、惜しくも4分0秒889と15周に入ることができない。そして3レース、ポイントランキング9位の横山選手(NT1/O.S.)が15周に入り、ここまでのトップタイムの15周4分11秒422をマーク。続く4レース目ではS733にプロトタイプのシャシーを組み込んだ佐橋(弟)選手と、鈴木選手(G4/PICCO)が15周に入ってきた。しかし、横山選手のタイムには及ばない。
次にポイントランキング3位につけている三重県の藤田選手が走る第5ヒート。予想通り藤田選手も難なく15周に入るが、タイムは4分13秒とわずかにトップには及ばず。そして注目の第6組。路面コンディションもほぼ安定しており、好タイムを狙うには最高のコンディション。この組では現在ランキング同ポイントでトップに位置する嶋崎選手と、高畑選手が走る。またポイントランキング4位の寺内選手、5位の浅原選手などランキング上位の選手が走行する。序盤から嶋崎選手と高畑選手が熾烈なタイム争いが繰り広げられ、両者とも絶好調な兆し。予選は2回しかないためミスは絶対に許されない。しかしこんなプレッシャーを両者は物ともせず、嶋崎選手はベストラップでここまでで最高の16秒098、高畑選手も16秒226をマーク。結局、約3秒差で嶋崎選手が15周4分6秒143という記録でトップゴールを決め、ここまでのトップとなる。

これは嶋崎選手にとって高畑選手よりシリーズ優勝に一歩近づいたこととなる。なぜならこの日の天気予報では午後から降水確率80%という予報。仮に午後から降雨となり決勝が出来なかった場合、この予選で勝敗が決まるからだ。これは嶋崎選手にとって精神的余裕が生まれたに違いないだろう。

この後の第7、第8組では稲垣選手や大岩選手が15周をマークするが、トップタイムには及ばず予選第1ラウンドが終了した。

予選1ラウンド目トップ3
嶋崎 真弥  選手 15周4分6秒143
高畑 翔耀  選手 15周4分9秒093
横山 慎之佑 選手 15周4分11秒422

予選第2ラウンド
2ラウンド目では多くの選手がタイムを更新してきた。3組目では横山選手が15周4分4秒175をマーク。1ラウンド目の嶋崎選手のタイムを塗り替える最速タイムを記録。続いてのヒートでも鈴木選手、佐橋兄弟、藤田選手ら、多くの選手がこの2ラウンド目で1ラウンド目の記録を更新するもののトップタイムには及ばず。

ランキング争いに直結する注目の第6組。寺内選手が逆転を狙い猛烈にアタック。
しかしこの第6組ではトップタイムとなるものの、横山選手の記録には0.6秒及ばず2番手タイムとなる。一方 同ヒートの嶋崎選手、高畑選手の争いは高畑選手に軍配が上がるものの、1ラウンド目の嶋崎選手に記録に及ぶことはできなかった。これで、もしこの後、降雨により決勝が行なわれなかった場合、ポイント計算を行なうと嶋崎選手のシリーズ優勝が確定することとなる。

予選総合結果トップ4

横山 慎之佑選手(NT1/O.S.) 15周4分4秒175
寺内 翼皓 選手(733/NOVA) 15周4分5秒525
嶋崎 真弥 選手(MTX/NOVA)15周4分6秒143
高畑 翔耀 選手(V-one/O.S.) 15周4分9秒093

しかし、雨の気配はまだまだ感じられない天候。1/32Bメインから勝ち上がり決勝が順次進行していった。

短時間での決着が余儀なくされた下位メインの勝ち上がり決勝。まずは1/32Bメイン。短時間での決勝のためが、スタート直後に少しでも前に出ようと各メインで接触が多発。特に3番グリッドあたりからスタートのマシンがクラッシュに巻き込まれる傾向が強かった。PGTCラウンド2での優勝経験がある松田選手は予選ではトラブル続きで全く記録を残せず最下位メインからのスタート。しかし、この決勝ではクラッシュに巻き込まれることもなくあっという間に1/8ファイナルまで駒をすすめた。また、渡辺選手(G4/PICCO)も同様に最下位メインからスターとしたものの難なく1/8メインまで駒を進めた。




1/8Bメイン
武田選手(NT1/O.S.)のリードで始まった1/8Bメイン。井路端選手(MTX4/PICCO)、古谷選手(G4/NOVA)が続く。しかし、下のヒートから勝ち上がったゼッケン8番の渡辺選手が猛烈な追い上げを見せ、3分を経過する時点でなんと3位まで浮上。そして古谷選手、武田選手、渡辺選手の順でゴールし勝ち上がりを決めた。

1/8Aメイン
スタート直後、各車が一団となった状態で第1、第2コーナーを抜けバックストレートを走行。そのままバックストレートエンドになだれ込む。いくつかの接触もあったが、下位から勝ち上がってきた松田選手はクラッシュに巻き込まれることなくトップ争いに加わる。スタートから2分後はトップに立ちレースをリード。そのまま独走し、2位植場選手(NT1/NOVA)、3位清水選手(G4/O.S.)とともに次のレースへと駒を進めた。

1/4Bメイン
7分間で行なわれる1/4メイン。このヒートから給油が必要となり、レース展開が面白くなる。まずは峰岸選手(V-one/O.S.)がレースをリードするものの後続車に接触され転倒。その後、トップに出た岩間選手(NT1/NOVA)もストレートエンドで転倒し、替って鳥井選手(NT1/O.S.)がトップとなる。最下位メインから勝ち上がった渡辺選手がここで3番手まで浮上。2番手は古谷選手。レース時間は7分間。スタート直後は半分の燃料でスタートし、満タン状態で走行する時間を減らそうという作戦か3分を過ぎた頃に早めの給油に入るマシンが何台か見られた。このためか渡辺選手の走りが凄いのか、トップに踊り出る。5分を過ぎたときには渡辺選手、古谷選手、柴村選手(V-one/O.S.)がトップ3。ゴール1分まえに古谷選手が渡辺選手の前に出てトップとなりそのままゴール。続いて渡辺選手、柴村選手とゴールしセミファイナルへ駒を進めた。

1/4Aメイン
ここまで順調に勝ち上がりを見せた松田選手であったが、不運にもスタートで出遅れてしまう。その間にも東選手(MTX/NOVA)、北山選手(Vone/O.S.)がレースをリードする。しかし出遅れた松田選手は、徐々に前のマシンを抜きながらトップの東選手に詰め寄る。そして、5分が経過したころには東選手を抜き去りトップに立つ。そして2番手に北山選手、3番手に植場選手となる。そしてその後は大きな展開もなくこのままの順でチェッカーを受け、この3台がセミファイナルへ駒を進めた。



1/2Bメイン
佐橋(兄)選手、藤田選手、鈴木選手の3台がスタート直後から4番手以下を一気に引き離してレースをリード。ほぼ等間隔を保ちつつラップを重ねる。しかしすぐに藤田選手が佐橋(兄)選手の前に出るが、そのまま3台は安定した走りでゴールしグランドファイナルへ勝ち進んだ。

1/2Aメイン
大岩選手(NT1/RB)のリードで始まった1/2Aメイン。佐橋(弟)選手、井上選手(NT1/PICCO)がこれに続く。このあたりの面々はファイナル常連。なんとしてでも勝ち上がりたい。そんな折、大岩選手がトラブルのためか一気に順位をおとし、佐橋(弟)選手が前にでてトップとなる。そして、井上選手、稲垣選手(NT1/RB)と続く。順位を落とした大岩選手であったが5分過ぎには3番手まで浮上。このときトップは佐橋(弟)選手、2番手は稲垣選手。後ろから追い上げてくる大岩選手の動きが気になる。その後、井上選手が2番手まで浮上し、稲垣選手と大岩選手が1秒以内で3番手争いを繰り広げる。このグランドファイナル進出の熾烈な3番手争いを制したのは大岩選手となり、佐橋(弟)選手、井上選手の3名と最終決戦のグランドファイナルに駒を進めることとなり、グランドファイナルを走行する10名が確定した。
予期できない展開のグランドファイナル
遂にシリーズチャンピオンが決定される15分間のグランドファイナルを迎えることとなったが、天候は今ひとつ。ひょっとしたらレース進行中に雨が降り出すかもしれない。こういった状況も考え、各ドライバーとメカニックは作戦を練る。まずはグランドファイナル進出の10名の記念撮影が行なわれた後、操縦台に上っていった。各マシンのエンジンが始動され、一気にコース上に注目が集まる。

そして いよいよ緊張のスタート10秒前。

フラッグと同時に各車一気に第1コーナーへなだれ込みTQの横山選手を先頭に計測ラインをほぼゼッケン順に各車が通過。

まず不運が訪れたのは佐橋(弟)選手。突然エンジンの不調となり失速。

3分を過ぎた頃、トップを走行していた横山選手が自らのミスで転倒し、トップから転落その後 首位は横山→寺内→嶋崎→横山
と目まぐるしく順位が入れ替わり、4分半の時点で横山選手が再びトップに立つ。続いて高畑選手、寺内選手が2番手、3番手となる。このあと、8分過ぎまで横山選手がトップをキープするが、嶋崎選手が徐々に追い上げて2.5秒差まで詰め寄ってきた。そして寺内選手、高畑選手と続く。嶋崎選手の追い上げは激しく、その後ラップごとにトップの横山選手との差を詰めてくる。
12分を過ぎた頃には1.5秒差、14分の時点では0.8秒差まで詰め寄るが横山選手が逃げ切りPGTC最終戦を見事に制した。準優勝は嶋崎選手、3位は寺内選手という結果でPGTC最終ラウンドが終了した。





ベストパフォーマー
また、最下位メインからセミファナイルまで勝ち上がった渡辺選手にベストパフォーマー賞が授与された。

グランドチャンピオン
これですべてのラウンドが終了し、6戦中4戦のポイント合計でグランドチャンピオンが決定される。その結果、2009年度PGTC初代チャンピオンは嶋崎選手が獲得、準優勝には高畑選手、3位に横山選手となった。

この最終戦までポイント争いがもつれ込むとは誰が予想できたか?また10代の若い選手がワークス勢を抑え込んでランキングのトップ3を占めると、誰が予想できたか?主催者側、参加者側の予想をはるかに上回る先の見えない展開に誰もが驚かされ、プライベーター達の底力をみることが出来た。そんなPGTCも来年は今年以上に力を入れ、年間7〜8戦を検討中です。来年度は参加者の皆さんがさらに楽しめるレースとなるよう運営できるよう今年の反省点を改善していきたいと考えております。

来年度の予定は決定次第、当ホームページにて発表とさせて頂きます。

それでは、皆さん来年まで練習を怠らないように!




PGTC 年間ランキングトップ3

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