PGTC 第6戦 HOKUSEIサーキット

ついに5戦目となったPGTCが秋晴れの10月18日に三重県のホクセイサーキットで開催された。ここは本年度の1/10GPツーリング全日本選手権が9月に開催され、多くの参加者にとっても記憶の新しいサーキット。つまり、多くの選手が独自のセッティングデータを持ち合わせている。

このホクセイサーキットは日本でも有数の高速レイアウトの大型サーキット。しかし、コーナー随所にはタイムアップのポイントが点在する。特にバックストレート手前のシケインの攻略によってラップタイムが大きく影響を受ける。また、ホームストレートも長いためエンジン全開の時間が長く、予選では燃調も重要なセッティングポイントとなる。

現在のポイントリーダーは嶋崎選手。続いて、浅原、松田選手と続き、この3名が10ポイント以内に位置している。しかも松田選手は、先月にこのホクセイサーキットで開催された1/10GPツーリング全日本選手権スポーツマンクラスにて優勝と絶好調。今大会注目の選手でもある。

こういったメジャー選手と同じ条件で楽しみながら戦える場がPGTCであり、醍醐味でもある。そういった雰囲気が喜ばれ、今大会では関東からのエントリーもあり、PGTC最多の62名がエントリーし開催された。

最新ボディの登場

今回のレース直前 Xceedから最新ボディ AUDI A-5が発売された。ヨーロッパでは既に話題となっているボディで、その真価の程が問われるレースとなった。発売間もなくデータもない状態で、ドライバーも選択に苦慮している中でも、藤田(NT-1佐橋祐(733)、植月(NT-1)、松田(733)のドライバーは敢えてAUDIを使用し、今回のレースに挑んだ。






予選1ラウンド

前日は雨だったため多くの選手がデータを取れなかったのだが、1ラウンド目の1組目で植月選手、大岩選手が20秒台のラップをマーク。

続く2組目でも寺内選手が20秒台後半のタイムを記録。続く3、4組でも上位の選手が20秒台のラップタイムをマークしていく。しかし、4組目で好タイムを出した佐橋(兄)は車検でウィングに規定違反が見つかり失格となる。

5組目にもなると路面コンディションも出来上がってきたかのように、藤田選手が20秒台中盤を切るタイムをマーク。しかし、藤田選手はレース後の車検で規定違反が見つかり失格となってタイムが抹消された。続く6、7組でも横山、石川選手がそれぞれ好タイムをマークしていった。

予選1ラウンドが終了し、トップ10は次のようになった。
順位 名前 周回数 タイム ベストラップ
1位 石川 智之(MTX-4/NOVA) 15 5:11.163 20.465
2位 横山 慎之佑(NT-1/O.S.) 15 5:13.067 20.519
3位 佐橋 忠彦(733/PICCO) 15 5:14.032 20.562
4位 松田 拓海(733/PICCO) 15 5:15.355 20.615
5位 高畑 翔暉(RRR/O.S.)  15 5:15.820 20.463
6位 寺内 翼皓(733/NOVA)  15 5:16.891 20.826
7位 植月 徹也(NT-1/PICCO) 15 5:16.901 20.765
8位 鳥井 清張(NT-1/O.S.)   15 5:17.134 20.849
9位 大岩 秀幸(NT-1/RB)  15 5:19.509 20.854
10位 島崎 真弥(MTX/O.S.)  15 5:39.970 20.687

予選第2ラウンド
1ラウンド目でコンディションを確認し、この日のセッティング方向がわかったかのように予選2ラウンド目からは各ドライバーのペースが一気に上がってきた。

1組目から植月、大岩の両選手が20秒中盤を切るタイムで争う。序盤、植月選手が1秒差で前を行くが、大岩選手がベストラップを20秒347という今までで一番のタイムを出しながら少しずつ追い上げ、終了1分前には0.5秒差まで詰めてきた。ゴールでの逆転にはならなかったが、このあとも各レースでバトルが繰り広げられていった。

2組目
寺内選手がスタート直後からベストラップ20秒360でリード。そして福井の田中選手、岡山の吉川選手が追う。しかし寺内選手はさらにベストラップを更新しながらトップをキープしトップゴール。

3組目
佐橋(弟)、渡辺、井上の3選手のリードで始まった第3組。マシンもそれぞれサーパント733、G4、NT1と三者三様。それぞれ1ラウンド目を大きく上回るタイムを記録。
佐橋(弟)はこれまでの最高の20秒167をマーク。

4組目
PGTC優勝経験のある嶋崎選手を始め、1ヶ月前の全日本選手権を制した松田拓海選手や、鈴木選手、佐橋(兄)がこの組を走る。スタート直後は嶋崎選手がリード、そのあと松田選手、鈴木選手が追う。嶋崎は好調にペースを上げ、他の選手との差を広げ最後はベストラップも20秒054という好タイムをマークしトップゴール。

5組目
森、藤田、高畑の3選手がこのヒートのレースリーダー。それぞれ僅差で周回を重ねていく。しかし、高畑選手がトラブルにより序盤で姿を消し、替わって森選手がレースをリード。2番手を走行していた藤田選手が果敢に追うがそのまま逃げ切られてしまう。それでも藤田選手は1ラウンド目に車両規定違反により失格となっていたので、この2ラウンド目で好タイムを残したことになる。

6組目
気温が一気に上昇してきた6組目。気温上昇のためか、各選手のペースも上がってこない。そんな中、1ラウンド目同様に横山選手がリード。そして浅原、久保両選手が追う。しかし両者ともペースをあげることが出来ずに2ラウンド目の終了を迎えた。

7組目
2ラウンドの最終組でも同様に各車ペースを大きく更新することが出来ない。しかし、1ラウンド目同様に石川選手がリード、なんとかタイム更新を遂げる。

2ラウンド目 トップ10
順位 名前 周回数 タイム ベストラップ
1位 佐橋 忠彦(733/PICCO) 15 5:06.810 20.167
2位 島崎 真弥(MTX-4/O.S.) 15 5:07.427 20.054
3位 佐橋 祐也(733/Mega)  15   5:07.827 20.179
4位 寺内 翼皓(733/NOVA)  15 5:09.473 20.327
5位 石川 智之(MTX-4/NOVA) 15 5:10.621 20.324
6位 松田 拓海(733/PICCO) 15 5:10.879 20.372
7位 植月 徹也(NT-1/PICCO) 15 5:11.032 20.478
8位 森  潤一(NT-1/PICCO) 15 5:11.134 20.262
9位 大岩 秀幸(NT-1/RB)  15 5:11.277 20.349
10位 横山 慎之佑(NT-1/O.S.) 15 5:11.424 20.519




予選最終ラウンド
ここまで順調に進行してきた予選も遂に最終ラウンドを迎え、最後のタイム更新に期待を寄せる。

まずは今日絶好調の大岩選手が本日初の19秒台をマーク!そして植月選手も続いて19秒台をだす。大岩選手はさらにペースを上げ、19秒923までタイムを更新。この後のヒートでもトップドライバー達が19秒台を出してくるかと思われたが、このあとの2ヒート目からは誰も19秒台のラップを出すことができなかった。しかし、そうはいっても経験豊かなトップドライバー達。ラップこそは19秒台を出さずとも、この3ラウンド目をうまくまとめ総合でのタイムを更新してきた。そして、結果が表すように上位の多くの選手がこの3ラウンド目の記録が最終結果となり、決勝グランドファイナルのシード選手が確定した。

予選1〜3ラウンド 総合トップ10
順位 名前 周回数 タイム ベストラップ
1位 大岩 秀幸(NT-1/RB)  15 5:04.299 19.923 シード確定
2位 藤田 弘樹(NT-1/PICCO)15 5:05.815 20.084 シード確定
3位 森  潤一(NT-1/PICCO)15 5:05.827   20.104 シード確定
4位 寺内 翼皓(733/NOVA) 15 5:05.912 20.184 シード確定
5位 石川 智之 (MTX-4/NOVA) 15 5:06.437 20.121
6位 島崎 真弥 (MTX-4/O.S.)  15 5:06.664  20.054
7位 佐橋 忠彦 (733/PICCO)  15 5:06.810  20.167
8位 佐橋 祐也 (733/MEGA) 15 5:07.827 20.179
9位 横山 慎之 佑(NT-1/O.S.) 15 5:07.997 20.270
10位 松田 拓海 (733/PICCO) 15 5:08.065 20.268


決勝
10分間の勝ち上がり決勝が1/16Bファイナルから開始。

1/16B
浅原選手のリードで始まった1/16Bファイナル。桑原、中津の両選手が続く。予選で結果を出せなかった浅原選手であったが、トップをキープ。しかし8分を過ぎたところでエンジンストップ。このままトップから転落かと思われたがこれまでのマージンのおかげでなんとかトップに復帰し、ゴールすることができた。そして、中津、水野2選手が勝ちあがった。

1/16A
吉村、谷の両選手がレース前半をリード。しかし中盤を走っていたラジコンマガジン編集長の山鼻選手がトップに躍り出る。そのまま逃げ切りRCワールド編集長の加藤選手とともに勝ち上がった。
編集長対決はまだまだ続く。

1/8B
1番グリッドスタートの森谷のリードで始まった1/8Bファイナル。2番手には岩間選手、3番手には安部選手が続く。この3台が常に等間隔でレースは進行していく。しかし、レース中盤以降に森谷選手がペースを上げて2番手以降を引き離して勝ちあがりを決めた。

1/8A
竹村選手のリードで始まった1/8Aファイナル。しかしすぐに北山がトップに立つ。そして2番手には松井選手が浮上。トップ2台はこの二人がそのまま独走する。その後ろでは山田、古谷両選手が3番手争いを繰り広げていた。この3番手争いを古谷選手が制して前の2台と一緒に1/4ファイナルへと勝ち上がった。

1/4B
安井、横田、大西の順にレースは進行するが序盤に安井選手がトップ争いから脱落し横田選手がトップに立つ。そのまま2番手の大西選手とコンマ数秒差で1回目の給油を迎える。両者同時に給油に入るがピットワークの速さも互角で大きな差を生むことなくピットアウト。ゴール直前、3番手を走行していた北出選手がホームストレートで大西選手に直線勝負を挑んで前に出る。そのままのフォーメーションで3台はゴールを迎えてセミファイナルへと駒を進めた。

1/4A
好スタートを決めた井上選手がトップをキープ。大元と藤井が2番手争いをしながら前の井上選手を追う。しかし、藤井選手が大元選手の前に出てそのままトップの井上選手を追う。大元選手は藤井選手に序々に差をつけられていく。一方、藤井選手は前の井上選手に差を詰めていくのだが、ゴールの時間を迎えて2位で1/4ファイナルを終え勝負は次のセミファイナルへと持ち越された。


セミファイナル
1/2B (セミファイナルB)
まずは嶋崎、佐橋(兄)、松田選手の3台がスタート直後よりトップ集団を形成。しかし松田選手がマシントラブルによってリタイア。1回目の給油で嶋崎、佐橋両選手の差が0.2秒まで詰まる。その後、佐橋選手のマシンにトラブルが発生してトップから離れていく。嶋崎選手のペースは落ちることなくそのままトップゴール。一方、中盤を走行していたゼッケン7番の田中選手がレース後半に追い上げ、ゴール直前に3番手でゴールし、グランドファイナルへと勝ちあがった。

1/2A
石川選手のリードで始まった1/2Aファイナルであったが、佐橋(弟)がすぐにトップを奪う。その後、佐橋、石川両選手との差が約1秒であったが1回目の給油を終えた時点で広がりを見せ始めた。3番手には当初横山選手が走行していたがミスにより序盤で脱落。代わって峰岸選手が3番手を走る。ところが1/4ファイナルから勝ち上がった井上、藤井両選手がすぐ後ろまで迫っており、猛烈なプッシュを仕掛ける。そして3番手ポジションを井上選手が奪うものの、藤井選手と接触してリタイヤ。藤井選手にはダメージがなくそのまま3番手をキープ。その後、大きな展開もなく佐橋、石川、藤井の順にゴールしてグランドファイナルを迎えた。


グランドファイナル

各ヒートから勝ち上がった選手と、予選でシードを確定した選手とて争われる本日のメインイベントであるグランドファイナルを遂に迎えた。

1番グリッドのドライバーから順に呼ばれ、操縦台に上り操縦場所を確保していく。ウォームアップランの後、メカニックによってマシンがグリッドに並べられスタート合図を待つ。

スタートフラッグが振られる直前、なんと1番グリッドの大岩がフライングをしてしまう。はフライングを認識したのか、そのまま全車が通りすぎた最後尾からスタート。これを見ていたフラッグマンもペナルティーを課さず、レースはそのまま進行。

2番グリッドスタートの藤田選手に佐橋(弟)、寺内、石川選手と続く。佐橋選手が前の藤田選手に差を詰め、テールトゥノーズ状態で各コーナーを駆け抜けていく。それに後ろの寺内選手も食らい付いて行くバトルがしばらく続く。ところが、トップを走る藤田選手がシケインで転等し、佐橋、寺内両選手に抜かれてしまう。そして1回目の給油を迎えるのだが、トップの佐橋、寺内の両者とも同ラップで給油に入り、ピットに緊張が走る。ここはドライバーではなく助手の勝負。しかし、トップを走る選手達の助手は、給油の手際良さのレベルも高くピットアウトしても大きな差は生まれず、勝負はコース上へと戻る。

この時点で、佐橋と寺内両選手の差はわずか0.8秒。このあと、寺内選手が差を0.3秒まで縮め、2回目の給油を迎えたのだが寺内選手がまさかのガス欠!トップから一気に転落してしまう。そして2番手には森選手、3番手には藤田選手と、寺内選手に代わって佐橋選手を追う。その後、藤田選手が2位に上がり、3番手には嶋崎選手が上がってきた。この2台の差は0.5秒。一方 最後尾スタートのゼッケン1番の大岩選手が猛烈な追い上げで4位まで浮上。

佐橋、嶋崎、藤田、大岩各選手の順で最後の給油を迎える。給油後も順位変動はなく2分が過ぎたころトップを走る佐橋選手のマシンに突如トラブルが発生!修復のために已む無くピットに入る。これによりトップの座を藤田選手に明け渡してしまい、2番手には嶋崎選手、3番手に森選手が続き そして4番手には執念で追い上げてきた大岩選手。ゴール直前には森選手を抜きさり、3番手まで浮上。その後、藤田選手がトップを死守しPGTC初優勝のチェッカーを受けた。続いて嶋崎、大岩両選手がチェッカーを受け、PGTC第5戦が終了した。

これにより、嶋崎、高畑両選手が同ポイントでトップとなり、いよいよ次の最終戦でPGTCのグランドチャンピオンが決定する。

ベストパフォーマー賞
今回のベストパフォーマーはグランドファイナルでフライングを自覚し、あえて最後尾スタートをしたフェアな精神と、その後の見事な追い上げで表彰台にまで登り詰めた大岩選手に贈られた。







 →BACK