PGTC ラウンド4 

遂にPGTCも4戦目を迎え、いよいよシリーズ後半戦に突入。Round3までの総合ポイントでは若干12歳の松田拓海選手を筆頭に、平成生まれの若手ドライバーがトップ3を占めている。前回のRound3からはたった2週間しか経っておらず、体力的にも若い世代が優位かと思われる今回のRound4ではどういう結果となるか?

英田サーキット
今回Round4が開催された岡山県英田サーキットは、過去に実車のF1グランプリが開催されたTIサーキット(現、岡山国際サーキット)のすぐ近くに位置する町営サーキット。この英田サーキットは十分な広さと長さを持つバックストレートがある。それに対しインフィールドはタイトコーナーが連続するテクニカルレイアウト。そのため、他のマシンをパスするには次のコーナーをも想定した走行ラインでパスしなければならない。しかしコース幅が狭く、かなりのテクニックが要求される。また、レコードライン以外の路面はグリップが大きく低下する特徴がり、この英田サーキットではインフィールドをクリアラップで抜けることがで出来る、出来ないかが予選でのタイムアップのポイントになりそうだ。

前日の雨によって路面がウェット状態だったが、4戦目にしてようやく恵まれた天候により、大きな遅れもなく路面はドライとなり予選を迎える。

ヒートの組み分け後、AM10:00から予選がスタートした。
予選1ラウンド
路面が出来上がっておらず最も不利なコンディションとなる予選第1ラウンドの第ヒート。
このヒートでは前回のRound3での優勝者である横山選手が走ることとなる。

各車フラッグマンに従い次々コースインし、5分間のタイムアタックを開始。スタート後まもなくしてゼッケン7番の池上選手がトラブル、そしてゼッケン2番の三宅(孝)選手がコース上でスタックしタイムロス。一方、前回の優勝者である横山選手は好調な出だしでラップを重ねる。ところが中盤になって計測画面上で、ある時間帯だけラップカウントがされないという原因不明のエラーが発生。とりあえず予定の5分を終了し、エラーの原因を探と同時に、運営側の協議によりこの第1ヒートを無効とし全ての予選ラウンドが終了後に再レースとなった。

いくらかの時間の遅れを経て、つづく第2レースがスタート。この組には最近急激に頭角を現して来た松田拓海選手のリードで、佐橋(弟)、植月と続く。松田選手と佐橋(弟)も今回からSERPENTの新型マシンである「733」にスイッチ。しかも、前日からこの英田サーキットに入ってセッティングを行うという気の入れ様。両者の今回の成績が気になる。また、このヒートにはPGTC Round1で2位を獲得した浅原選手もおり、他の選手も気になる注目のヒート。計測開始後、松田、植月、佐橋、浅原のタイム順でラップを重ねる。2分を迎えようかという時点で、バックストレートを走行していた佐橋選手のマシンが電波トラブルでそのままストレートエンドでコースアウト!マシンへのダメージは無かったが、トラブルの再発を避けるためそのままパドックに戻りメンテナンスのためにこの1ラウンド目をリタイヤした。そのころコース上ではゼッケン6番の浅原選手と、ゼッケン2番の植月選手が激しいトップ争い。両者のベストラップ差は、まずが5/100秒差。しかし、絶好調の松田選手がこの2選手を出し抜きトップに立ち16周5分6秒541でゴール。

3レース目はゼッケン1番の島崎選手がタイムアタック開始から堅実かつ軽快な走りでトップを独走。ベストラップも18秒933をマークしたものの、先の松田選手には一歩及ばず16周5分7秒818で1ラウンド目を終えた。


英田サーキットをホームコースとし、ここで開催されるレースでは常に上位にランクインする西山選手、高畑選手、それに対抗する中京の藤田選手らが走行する4レース目がスタート。まずは西山選手と藤田選手がリードする形でレースは進行。2分を経過した時点で両者の差は約2秒。しかし、途中から高畑選手がトップに立ち西山、藤田の両選手に4秒差をつける。このまま5分を迎え、16周5分10秒307で高畑選手がトップゴールを決めた。

路面も第1レースと比べ、格段によくなったと思われる第1ラウンド最終レース。佐橋(兄)選手がレースをリードし、続いて河田選手。3番手にはゼッケン7番の渡辺選手がポジションをキープ、このレースもハイペースでラップが刻まれる。安定した走りで佐橋選手がこの1ランド目の最高タイムである16周5分6秒510をマークしてゴール。


予選第2ヒート

1レース目、横山選手がこの日の自己ベストラップの18秒679をマークしながらのタイムアタック。トータルタイムへの期待が脳裏をよぎる。もちろん、このレースはトップを走行し、2番手以降に1ラップの差をつけて1ラウンド目の記録を更新する16周5分5秒375をマーク。
続いて浅原、高畑、佐橋兄弟、島崎、井上選手らもこの2ラウンド目でタイムを更新し上位に進出。予選最終ラウンドを迎えることとなる。


予選最終ラウンド
第1レース
強い日差しと上昇する気温路面温度により、これまで好調だった横山選手を筆頭にペースが思うように上がらない。結局、トップゴールした横山選手も16周5分9秒とこれまでの記録を更新することはできなかった。

第2レース
トップ4を目指しゼッケン4番の佐橋(弟)がこれまでにない好調な走りでトップを走っていたがゴール直前にバックストレートで突然のエンジンストール!無念のまま予選を終える。一方、2番手タイムで走行していた松田選手だったが、こちらもタイム更新には至らなかった。

第3レース
若手の藤井拓哉選手がトップを走行し、シードタイムを狙うが3分を過ぎたところでミスを犯しエンジンストップ。代わってゼッケン1番の島崎選手がトップに立つが序盤でのミスが影響し16周5分8秒414とこれまでの記録を更新することは出来なかった。

第4レース
高畑選手と藤田選手が首位争いでラップを重ねるうち、このトップ争いに西山選手も加わりレースが展開される。3分を過ぎたころには、高畑、西山、藤田のオーダーで順位は変わらずそのままゴール。タイムも16周5分10秒と、こちらも上昇する気温と路面温度のせいか、タイムアップには至らなかった。

第5レース
開始後から佐橋(兄)、森、井上、渡辺のオーダーで各マシンは周回を重ねハイレベルなレースでラップを刻む。森選手がわずかながらタイムを更新するが、他の選手は今までの第3ラウンドの各ヒートと同様、あまりにも上昇しすぎた気温と路面温度のためにタイムを更新することは出来なかった。

これで全ての予選が終了し、次の順に4名のシード選手が確定した。
TQ:佐橋(兄)
2:横山 慎之佑
3:島崎 真弥
4:高畑 翔暉

この結果を見てわかるように予選から若手ドライバーの活躍が目立つ。そしてグランドファイナルの残り6つの枠を賭け、シード選手以外による勝ちあがり決勝の1/8Bメインが予定通り開始された。
1/8B
佐藤、矢部、山鼻選手のリードでレースがスタート。序盤で4番手を走行していた江国選手が矢部、山鼻を一気にパスして2番手にポジションアップ。中盤には江国選手がトップを走行していた佐藤選手を抜いて首位に。そのまま2番手以降を引き離して独走。ゴールが近くなった8分経過時、2番手の佐藤選手が周回遅れと接触するが2番手のポジションをキープしそのままゴール。3番手には山鼻選手が続き、1/4Bファイナルへと駒を進めた。

1/8A
6台出走予定中 森本、片山、武田の3台だけのスタートとなった1/8Aメイン。遅れてゼッケン5番の三宅選手がコースインし、回生を望む。ところがコースインして間もなく三宅選手はリタイヤしてしまう。コース上にはまた森本、片山、武田の3台だけでの戦いになってしまった。レース中盤にはトップを走行していた森本選手がフェンスにマシンを引っ掛けてしまった。その間に片山選手がトップに浮上。このクラス 勝ち上がり枠は3台のため、各車無理せず確実に周回を重ねてゴールを迎えて次の1/4Aメインに進むこととなった。

1/4B
1/8から勝ち上がった信江選手が好スタートを決めて一気に3番手へポジションアップ。しかし、5分の時点で後続の足立選手にあっさりと3番手ポジションを明け渡してしまう。トップはスタートから常にこのメインで首位を走行している鈴木選手(G4RS)。2番手には片岡選手( )。8分を迎えたときには、ほぼゼッケン順のオーダーとなっており、序盤でうまくポジションアップした信江選手は9番手まで順位を落としていた。そしてこのまま、トップから鈴木、片岡、足立の3名が勝ち上がることとなった。

1/4A
1番グリッドスタートの池田選手( )のリードで始まった1/4Aメインだったが、序盤から岩間選手( )と吉村選手( )の猛烈な追い上げにより、すぐにトップを奪われてしまった。そのまま、岩間、吉村の両選手がトップ争いをしながらレースをリード。しかし、給油を終えてしばらくしたところで2番手を走行していた吉村選手がトラブルによりストップし、池田選手が2番手にポジションアップ。その間にもトップを走行していた岩間選手が好調なペースで走行し、2番手以降に十分な差をつけてトップゴール。続いて、池田選手、加藤選手の順にゴールした。


セミファイナル
グランドファイナルよりも緊張するといわれるセミファイナルが、グランドファイナル進出をかけた戦いが遂に始まった。

セミファイナルB
1番グリッドに地元の井上選手、2番グリッドに森選手、3番グリッドに佐橋(弟)。全車10台が一斉にスタート。すぐに佐橋選手が2番手に浮上し、これまでの汚名返上に闘志を燃やす。序盤、トップを走行していた井上選手と佐橋選手との差は1.6秒。続いて3番手の森選手と前の佐橋選手とは1.7秒差。そして4番手に渡辺選手が浮上し、この4名がトップ争いを繰り広げる。3分を迎えるところでトップを走行していた井上選手が転倒、一気に順位を落としてしまう。念願の首位に踊り出た佐橋選手。その後 給油を終えバックストレートを走行中に突如エンジンストップ!グランドファイナル進出にかける思いは、はかなくとも散ることとなった。一方、労せずしてトップになった森選手は、トップをキープ。転倒し順位を落とした井上選手が一気に2番手まで浮上し最後はトップ森選手をも交わしトップゴール。2番手に森選手、3番手には植月選手となり、グランドファイナルの3枠が確定。

セミファイナルA
スタートで1番グリッドの松田選手が出遅れ、浅原、藤井、藤田、西山の4選手がレースをリード。藤井選手のエンジンは好調で、バックストレートで前の浅原選手との差を一気に詰め難なくパスしトップに躍り出る。1回目の給油前には3番手を走行していた藤田選手だったが、ペースをうまく上げることができず、後方の松田選手に3番手を奪われる。その後、徐々に後退してトップ争いから脱落してしまうこととなる。3番手を走行していた前ラウンドの優勝者である松田選手だったが、ギアトラブルに見舞われてストップ。この時点では浅原選手がトップを走行し、少し順位を落としていた藤井選手がそのあとに続く。藤井選手は浅原選手に猛烈なプッシュをかけて隙をうかがう。しかし、そこはベテランでレース経験が豊富な浅原選手。その後も隙を見せることはなく、そのまま浅原選手のトップで終了するか思われたが、突如浅原選手のエンジンにオーバーヒートに兆しが現れペースダウン!ゴール間際に藤井選手がトップになり、そのままレース終了。2番手には浅原選手。3番手には西山選手がゴールし、これでグランドファイナルの枠が全て決定した。


グランドファイナル
シードの4名と勝ち上がり組の6選手によって全てのグリッドが確定したグランドファイナル。ドライバー、メカニックともに万全の体制でレースに臨む。順次コースインし マシンのフィーリングを確かめてグリッドに着く。

スターティングフラッグと同時に全車一斉にスタート。

2番グリッドの横山選手がスタートで佐橋選手をかわしてトップになり、それに続いて各車次々とコーナーをクリアしていく。

序盤は横山、佐橋が常にコンマ数秒差でトップ争い。これに島崎選手が続く。4番手には7番グリッドの浅原選手が浮上し、前の3台にペースを合わせながら付いていく。その後、トップの横山選手は序々に佐橋選手との差を広げようとペースあげるのだが、痛恨の転倒!一気に順位を落とし、代わって佐橋選手が首位。そして、島崎、高畑、藤井と続く。島崎選手と佐橋選手の差は、レース中盤にはやや広がりを見せ始めた。佐橋選手がトップのまま時間は経過していく。そして迎えた3回目の給油に入ろうかとした周回で、佐橋選手のマシンは悲運にも燃料が足らずにコース上でストップ!あっけなくトップの座から落ちてしまう。続いて、2位を走行していた島崎選手だったが突如ピットでタイヤ交換。しかし、予定ではフロントタイヤを交換する予定だったのだがピットではリアタイヤが交換されてしまう。島崎選手はこれを知ることなくピットアウトするが、すぐ異常に気づいて再度ピットイン。フロントタイヤを交換するが、大きくタイムをロスしトップ争いから脱落してしまうこととなる。上位陣が次々と脱落することで運が巡ってきたのは高畑、横山、森の3選手。彼ら3台がトップグループとなり、森選手のリードでトップ争いが繰り広げられる。この時点でレースは終盤に差し掛かり、各車すでに最後の給油も終えたラストスパートの状態。トップと2番手との差は約2秒。2番手の高畑選手が1周毎に前の森選手との差を詰める。トップの森選手の前に周回遅れのマシンが現れペースダウン。高畑選手が一気に差を縮める。森選手は何とか周回遅れのマシン交わすが、高畑選手もうまく周回遅れをパスし森選手を逃さない。間もなく20分のゴール直前、森選手のマシンがインフィールド入り口で突然ストップ!原因はなんとガス欠。最後の2ラップ分の燃料がもたず、あっけなく高畑選手が森選手を抜き去り、誰もが予想できなかった奇跡の大逆転で優勝を決めた。そして2番手に横山選手、3番手に森選手と、またしても若手ドライバーが上位を占める結果となった。




ベストパフォーマー
各ラウンドで、注目を浴びるドライビングをした選手に贈られるベストパフォーマー賞。今回は、このPGTC Round4開催の直前に骨折しながらも、ギプスを外してグランドファイナルに勝ち上がり、見事8位でゴールした藤井選手に、ベストパフォーマー賞が授与された。

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