PGTC Round2
昨年、西日本で話題となったGPツーシングレースイベントThe Power of GP Touring Car(PGTC)が今年も開催された。 当初ラウンド1に予定されていた3月7日のO.S.フィールドでの開催は雨の為に6月27日に延期となり、このラウンド2が事実上のオープニングレース。

開催日当日は早朝の小雨により開催が心配されたが、幸運なことに天候はすぐに回復した。

今回のTRSサーキットは昨年とはコースレイアウトが変更されており、ドライバーはゼロからのセットアップが求められる。それゆえ、この新しいレイアウトでの練習量の差がレースの結果を左右するのは明白であり、前日の土曜日も多くのドライバーが練習に勤しんでいた。

予選
予選第1ラウンド
このTRSサーキットの新しいコースレイアウトでのベストラップは13秒3から13秒4あたり。路面が完全に出来上がっていない1組目を走行することとなった佐橋忠彦(S733/PICCO)が自ら設計を手がけたプロトタイプのボディーを投入し、序盤から13秒台のラップを刻む。昨年のシリーズランキング3位となった横山慎之佑選手(NT1/OS)も13秒691というタイムをマークしながら周回を重ね、この組トップのタイムである22周5分10秒966でゴール。

続く2組目は佐橋祐也(S733/MEGA)が13秒台中盤から後半のラップタイムを連発し、22周5分5秒039と前の組を走行した横山選手に大きく差をつける。

強豪が顔をそろえる3組目では、松田拓海選手(S733/MEGA)も序盤から13秒台後半をマークし、ラップごとにベストラップを更新。ここまでの最高のラップタイムとなる13秒530をマークするが、レース全体を完全にまとめることができず22周5分13秒442でゴール。一方、昨年度のシリーズランキング2位であった高畑翔輝選手(RRR/O.S.)や優勝経験もある藤田弘樹選手(NT1/NR)はタイムに伸び悩み、上位争いに絡むことはできなかった。

昨年のグランドチャンピオンである嶋崎真弥選手(MTX4/NR)が走行する4組目、嶋崎選手が果敢にタイムアタックし22周5分9秒632とここまでで2番手のタイムをマークし昨年度のチャンピオンとしての意地を見せる。

最終組では、鈴木典道選手(G4RS/PICCO)が13秒台を記録するが22周に乗ることが出来ず21周5分1秒993となる。鈴木選手とほぼ同じペースで走行していた鳥井清張選手(NT1/O.S.)もラップタイムがあがらず、22周に入ることは出来なかった。

予選第1ラウンド トップ5
順位 ドライバー タイム ベストラップ
1位 佐橋 祐也(S733/MEGA) 22周5分05秒039 13秒651
2位 嶋崎 真弥(MTX4/NR)22周5分09秒632 13秒688
3位 横山慎之佑(NT1/OS)22周5分10秒966 13秒691
4位 佐橋 忠彦(S733/PICCO)22周5分11秒495 13秒787
5位 松田拓海選手(S733/MEGA)22周5分13秒442 13秒530

予選第2ラウンド
横山選手がオープニングラップから13秒619をマーク。さらにペースを上げ、巧みにマシンをコントロールし13秒379という驚異的なタイムをマーク。そして5分間をうまくまとめ22周5分4秒444とここまでのトップタイムをたたき出した。同じ組を走行していた佐橋忠彦(弟)選手も第1ラウンドでの自身のタイムを更新するものの、横山選手に及ぶことは出来ず22周5分10秒507でゴール。

2組目では予選第1ラウンドで記録を残せなかった藤井拓哉選手(NT1/NR)が13秒台のラップタイムをマークするが、各ラップタイムのバラつきが大きすぎたのか22周に突入することができなかった。同じ組を走行する佐橋祐也(兄)選手22周5分2秒348と前の記録を大きく塗り替え、ここまででのトップタイムをキープ。

3組目では松田選手、高畑選手もこの予選第2ラウンドでは好調なスタートを切りタイム更新に挑む。好調なペースでラップを重ねる両選手。松田選手は13秒423と自身のベストラップを更新しながら、トータルでのタイム22周5分3秒093と大きくタイムを更新し、一気にTQ争いに食い込む。高畑選手も丁寧な走りで各周回をまとめ、22周5分7秒766と上位争いに割り込むタイムを記録してきた。

これまで、上位ドライバーのタイム更新を見てきた4組目の嶋崎選手もタイム更新に挑む。やはり昨年のグランドチャンピオン。確実なマシンさばきで各コーナーをクリアし、22周5分4秒929を記録。しかし、佐橋選手(兄)が予選第2ラウンドで更新したタイムに一歩及ぶことができず、嶋崎選手のタイムはここまでで総合4番手。

予選第2ラウンド トップ5
順位 ドライバー タイム ベストラップ
1位 佐橋 祐也(S733/MEGA) 22周5分02秒348 13秒578
2位 松田 拓海(S733/MEGA)22周5分03秒093 13秒423
3位 横山慎之佑(NT1/OS)22周5分04秒444 13秒379
4位 嶋崎 真弥(MTX4/NR)22周5分04秒929 13秒458
5位 高畑 翔輝(RRR/OS)22周5分07秒766 13秒711
予選最終ラウンド
ここまで多くのドライバーが予選第2ラウンドではタイムを更新しており、俄然この最終予選にも力が入る。

まずは佐橋選手(弟)が自身の記録を大きく更新する22周5分2秒727をマーク。横山選手はラップタイムが思うように更新できなかったため、タイムアタックと途中で断念してマシンセットにこの走行時間枠を割り当てた。

2組目では佐橋選手(兄)はベストラップを13秒483まで縮めてきたのだったが、不幸にもファイナルラップで周回遅れと接触してトータルタイムでは22周5分3秒124と、これまでの結果を更新することなく予選を終了。

注目を浴びたのは3組目の松田拓海選手であり、予選スタート直後から13秒337をマークし、その後も13秒台中盤というハイペースでラップを重ねそのまま5分を走りきり22周5分0秒545を記録。ここまで首位の佐橋選手(兄)に2秒近い差をつけトップタイムを記録。

最後に大逆転を狙った4組目の嶋崎選手であったが、フェンスにヒットするなどでタイムを大幅にロス。記録更新にはならない22周5分8秒584となる。

予選最終組でも鈴木選手が22周を狙うが、あと一歩のところで5分となり21周5分1秒973で予選を終了した。

今回の予選で決勝シード4枠を争った熾烈な戦いは、シード権を獲得した4選手すべてがEAST開発中のNewボディ (M3)とXCEEDのテスト中のコンビネーションタイヤを装着していた事が注目された。

予選総合結果 トップ5
1位 松田 拓海(S733/Mega/EastM3) 22周5分0秒545 13秒337
2位 佐橋 祐也(S733/Mega/EastM3) 22周5分2秒348 13秒483
3位 佐橋 忠彦(S733/Picco・EastM3) 22周5分2秒727 13秒529
4位 横山 慎之佑(NT-1/O.S./EastM3) 22周5分4秒444 13秒379
5位 嶋崎 真弥(MTX4/NR/AudiA5) 22周5分4秒929 13秒458


勝ち上がり決勝
1/4B 10分
スタート直後からゼッケン4番の小林選手(RRR/OS)がトップを走行。しかし、ストレートエンドでスピン、2番手を走行していたゼッケン2番の植月選手(NT1/PICCO)にトップを奪われてしまう。しかし、3分を過ぎたところで植月選手のマシンがエンジンストール。代わりに片岡選手(NT1/NR)がトップに立ち、松井選手(NT1/NR)、小林選手(RRR/OS)が続いてゴール。この3台がセミファイナルBへと勝ち上がることとなった。

1/4A 10分
スタート直後に数台がからむクラッシュがあったが、各車ノーダメージでそのままレースが続行。トップを走るゼッケン1番の小出選手(NT1/PICCO)が後続車を引き離そうとするが、ゼッケン2番の辻選手(NT1/OS)とゼッケン4番の中野選手(NT1/RB)がしっかり後ろに食い付いて行く。そんな中、ゼッケン2番の辻選手がバックストレート入り口でトップの小出選手のインにうまく潜り込んでトップに立つ。しかし、3分を経過したところで小出選手が再びトップに踊りでて、2番手に中野選手がポジションアップ。いったん両者の差が広がるが、レース後半では再び僅差となり各コーナーで抜きつ抜かれつの目が離せないバトルを繰り広げた。そして中野選手のトップで迎えたファイナルラップ。後ろの小出選手がバックストレート入り口で遂に中野選手を捕らえてバックストレートでサイドバイサイド。イン側のポジションを走行していた小出選手がストレートエンドのコーナーでかわしそのままゴール。続いて中野選手、辻選手がそれぞれ2番手、3番手としてセミファイナルへ勝ち進んだ。
セミファイナルB 15分

スタートからゼッケン1番の高畑選手がレースをリード。ゼッケン2番の藤田選手が懸命に追うが、徐々にその差が広がっていく。3位の鳥井選手、4位の山田選手の2台の争いが激しく、順位が何度も入れ替わる。その間にもトップ2台は3番手以降を引き離して後続にかなりのリードを広げる。しかし、トップを走行する高畑選手は2番手の藤田選手をも引き離して完全に独走状態となり、そのままトップゴールを決めてグランドファイナルに勝ち上がった。続いて藤田選手、そして3番手争いに打ち勝った鳥井選手が勝ちあがることとなった。

セミファイナルA 15分

不運だったのは一番グリッドスタートの嶋崎選手であった。スタートのカウントダウンに島崎選手の助手がマシンをグリッドに置くことが出来ず、スタートコール直後にマシンをグリッド位置近くに置いてスタートさせてしまった。これがペナルティーとなり、嶋崎選手にピットスルーペナルティーが課せられる。これで嶋崎選手はペースを乱してしまう。このセミファイナルAをリードしたのは藤井選手であり、続いて鈴木選手が2番手を走行する。そのままレース後半まで藤井選手がトップを守っていたが無念にもミスしてしまい大きくポジションを落としてしまう。代わって鈴木選手がトップに立ち、そのままゴール。2番手には石戸選手、3番手には大西選手。そして4番手には1/4ファイナルから勝ち上がってきた小出選手となり、この4台がグランドファイナルに駒を進めた。
グランドファイナル 20分
今年から新レギュレーションにより、グランドファイナルを12台で行なうこととなった。これにより、より多くのドライバーにグランドファイナルへと進出する可能性が広がることとなる。

今年も様々なバトルが期待されて開催されたPGTC2010。今回のPGTC Rd2でのメインイベントであるグランドファイナルへ出場の12名が決定した。グランドファイナル進出選手は次のとおり。

グリッド
1 松田 拓海(S733/Mega/Xceed)
2 佐橋 祐也(S733/Mega/Xceed)
3 佐橋 忠彦(S733/Picco/Xceed)
4 横山慎之佑(NT1/O.S./Xceed)
5 鈴木 典道(G4/Picco/ZAC)
6 高畑 翔輝(RRR/O.S./ZAC)
7 石戸 宏林(NT1/NR/Active)
8 藤田 弘樹(NT1/NR/Active)
9 大西裕一郎(G4/NR/ZAC)
10 鳥井 清張(NT1/O.S./Active)
11 小出 和彦(NT1/Picco/Xceed)
12 山田 憲史(NT1/Picco/Enneti)

スタート直前に佐橋兄弟が共にエンジンストール。そのままこの二人はピットスタートとなりいきなり出遅れてしまう。コース上では松田選手と高畑選手がレースをリードし、大西選手、横山選手と続く。しかし、横山選手はフライングにより10秒間のピットストップペナルティーにて順位を大きく落とす。これにより追い上げが難しくなってしまったが、そんな逆境をも跳ね返す走りで4分を経過する時点で一気に4番手まで浮上。一方、トップを走る松田選手は2番手の高畑選手に3秒ほどの差をつけて走行。この差はスタート後9分くらいまで続く。しかし、松田選手は他者と絡んだ際にタイヤが欠けてしまい大きくペースダウン。2番まで浮上してきた後ろの横山選手から猛烈なプッシュを受ける。3番手にはスタートで出遅れた佐橋選手(兄)が横山選手のすぐ後ろまで迫っていた。そして、スタートから13分程の頃にホームストレートエンドで松田選手と横山選手が接触。その隙をついて佐橋選手(兄)がこの2台を一気に抜いてトップに立つ。松田選手はここでの接触によりボディーをタイヤに巻き込んでしまい、上位から一気に転落。佐橋選手(兄)はこの時点で2番手の横山選手に3秒近いアドバンテージを持つ。しかし、ここから横山選手の強烈な追い上げが始まり、ラップを重ねるたびにコンマ数秒づつ両者の差が詰まる。そして18分を過ぎたころ、その差は1.8秒までとなりコース上では佐橋選手(兄)のすぐ後ろに横山選手がいる状態。この2台は操縦台上のドライバーの視界にも確実に入る距離である。これは強烈なプレッシャーであることに違いない。ゴール直前の19分45秒の時点で、このトップ争いはあっけなく終わることとなる。横山選手がミスした際にエンジンがストップ。佐橋選手(兄)がそのままチェッカーを受け、PGTCでは初となる優勝を成し遂げた。ポジションアップした高畑選手、そして3番手は横山選手となり
PGTC2010 Rd2が終了した。
ベストパフォーマーには1/4ファイナルで目の離せないバトルを繰り広げて制し、グランドファイナルまで勝ち進んだ小出選手に贈られた。


次回、Round3は5月30日 SPKサーキットにて!

 →BACK