PGTC Round2

「ワークスドライバーを撃ち負かす熱きプライベーター達」との名目で始まり、
正にそのとおりの結果となったPGTC Round1から早一ヶ月、待ちに待ったRound2が遂に開催された。

ハイスピードバトルの予感
Round2の開催地であるCRPは1/10GPツーリング、1/8レーシングの全日本選手権も開催されたことがあり、レースで勝つことを意識している多くのドライバーにとっては走行経験があるサーキット。
しかし、コースレイアウトは定期的に変更されるため、もちろん今回のレイアウトでその走行においても
練習量がタイムに影響することは間違い無い。また、Round1とは異なり1ラップに18秒前後必要な大きなサーキットであり、ストレートは70mを超えるバックストレートと40mほどのホームストレートの2本を携えている。
また各コーナーは比較的大きなRが付けられており、全体的にマシンの平均速度が高いハイスピードコースとなっている。

またしても雨?
東京、岡山、石川、三重、愛知といった遠方からの参加者が集まったにも関わらず早朝からは雨模様、すぐに小雨となり10時から開会式を行うことが出来た。開会式ではPGTC運営委員会の中井委員長から大会の主旨を説明する挨拶に始まり、前回Round1のチャンピオンである島崎選手からチャンピオントロフィーの返還が執り行われた。そして、競技委員長からルール説明、続いてラジコンマガジン、RCワールドといったRC専門誌の記念撮影を終えて開会式を終了。 

しかし、路面はまだ走行できる状態ではなかったため、コースコンディションの回復を待ちつつ予選レースでの公正化を図るために各ヒート代表者によるジャンケンにて予選ヒート順が決定された。

1時間遅れの予選スタート
路面コンディションの上がらない状況の中、1組目から予選が順次スタート。
1ラウンド目はコースコンディションを念入りに確認しつつ2ラウンド目以降におけるマシンのセットアップの方向を探るドライバー達。1ラウンド目でいかに多くの情報を得るかで、2ラウンド目以降の方向性が決まるため予選が3ラウンドあろうとも、1ラウンドでも無駄には出来ない。
決勝でいかに前方グリッドにつけるかは全てこの予選ヒートにかかっているのだ。

やはり路面コンディションがよくないのか、予選1組目では前回のRound1で2位となった浅原選手
(NT1/MEGA)でさえ16周といったところ。
ただ、2組目からは藤田選手(NT1/PICCO)や横山正樹選手(NT1/O.S.)が地元の西本選手(S720/O.S.)を制える17周を記録。予選ヒートが進むにつれ、路面コンディションが回復しているのか、各ヒートのトップタイムが向上。このような状況下、1ラウンド目の最終組を走行した1/8レーシング全日本選手権にて優勝経験を持つ佐橋祐也選手(S720/MEGA)選手が17周5分2秒を記録しトップに躍り出る。続いて、昨年度GPツーリング全日本選手権スポーツクラスの覇者、森選手(NT1/PICCO)が17周5分5秒で2番手となり、3番手には高畑選手(RRR/O.S.)。
一方、Round1のチャンピオンである島崎選手(MTX/O.S)と2位の浅原選手は.それぞれ11位と23位にとどまった。

ポジションアップを狙う予選第2ラウンド
1ラウンド目に満足に走行できなかった佐橋忠彦選手(S720/PICCO)が予選2ラウンド目ではラップをうまくまとめて17周5分4秒と、1ラウンド目に例えると2番手タイムとなる高記録を記録し、南口、森谷、高畑、松田、武田など半数以上のドライバーがタイムアップし17周に入ってきた。
しかし、予選1ラウンド目に記録を残せなかった島崎選手は、ガス欠により16周どまりとなり、後がなくなった。
ここまでの予選でトップは1ラウンド目と同様に佐橋祐也がトップポジションをキープし、続いて寺内選手(S720/NOVA)、高畑選手と続く。ワークスドライバーがトップを制えてはいるものの、多くのプライベーターが上位に食い込み、ワークスとプライベーターとの差が予選ではあまり感じることが出来ないハイレベルなペースの予選第2ラウンドであった。
島崎選手と浅原選手を含む2ラウンド目までにうまくタイムを残せなかったドライバーにとっては後がない予選最終ラウンド。PGTC Round1で優勝した島崎選手と2位の浅原選手はタイムが伸び悩み、予選2ラウンドを終了した時点で上位にはまったく手が届かない状態のまま、予選最終ラウンドに勝負をかけ、タイムアップをするものの浅原選手は17周5分11秒と予選総合16位で予選を終える。
一方、前回のチャンピオン島崎選手は強豪ひしめくヒートで横山慎之佑選手(NT1/O.S.)、森選手とトップ争いを繰り広げるが最後はガス欠となり、タイムアップはしたものの16周4分49秒で予選を終了した。また最後に勝負を掛けた寺内選手が唯一18周をマークしTQを獲得。
そのヒートで2位ゴールの松田選手(RRR/PICCO)が2位に浮上し、予選2ラウンドまでトップであった佐橋祐也選手はタイム更新出来ず総合3位となった。
グランドファイナル進出を賭けて
全ての予選が終了し遂に迎えた勝ち上がり決勝が1/4Bメインからスタート。

1/4Bファイナルのインターバルにおいて、島崎選手に電波トラブルが発生。急遽クリスタルを交換しレースに挑む。
しかし、スタートで痛恨のフライングを犯しピットスルーペナルティーが課せられた。今回はまったく運に見放された島崎選手。トップ集団を走行していたがこれで順位を大きく落としてしまった。
ところが!ここから島崎選手の果敢な追い上げが始まり、気が付くとトップまで浮上。植月、安部の両選手が2番手争いをしている間にもその差を広げつつ完全にレースをリード。
この上位3名がそのまま次の1/2Bファイナルに勝ち進むこととなった。

1/4A
大きなクラッシュも無くきれいなスタートで始まった1/4Aファイナル。武田悟選手(NT1/O.S.)がレースをリードし、玉野、鈴木がこれを追う。
トップ3台が常に数秒の間に位置し、どこで逆転劇が起きてもおかしくない状況。
そのままのオーダーで走行時間の10分を迎える直前に武田選手マシントラブル!
次々と各車のゴールする中、武田選手のゼッケンナンバーである1番が呼ばれない。ついにマシンはストップし、ゴールすることなくタイムアップ!
なんと武田選手は送信機の電池切れにより操縦不能に陥っていた・・・・・・無念。
(↑決勝前はちゃんと充電しましょうね〜)しかし、終了時のタイムは3番手だったためになんとか1/2Aファイナルに進出することができた。
荒れたセミファイナル

1/2B
スタート後間もなくゼッケン3番の西本選手(S720/O.S./WORKS)がリタイヤし、優勝候補の一人でもある横山選手もマフラートラブルを抱えトップ争いから脱落、4分過ぎにはコース上から姿を消してしまった。また2番グリッドスタートの植場選手も完走できず11分過ぎにリタイヤと、上位グリッドスタートの選手が次々と姿を消す。
ところが、1/4Bから勝ち上がった島崎選手がなんとレース序盤にトップに立ち、藤田選手がこれを追う形でレースは進行。藤田選手は島崎選手の様子を覗いながら2番手を走行。そして徐々にその差を各コーナーで詰めるのだが、バックストレートで幾分引き離され、なかなか思うように差が詰まらない。何度かテールトゥノーズの状況になるが、無理せず隙を覗いながら走行する藤田選手。
そのプレッシャーを受けつつ、トップを死守する島崎選手。藤田選手の猛烈なプッシュに負けることなくそのままトップゴール。
藤田選手は0.2秒差で2番手ゴール。そして、1/4Bから勝ち上がりの植月選手が3番手ゴールし、この3選手がグランドファイナル進出のキップを獲得した。

1/2A
トップを走行していた佐橋忠彦選手が1回目の給油を終えてピットアウトした直後、エンジンストール。大きく順位を落としてしまう。
その後、猛烈な追い上げによりなんと4番手まで浮上!しかし、「無理は禁物」とは言われるように、この時点でマシンには大きな負担がかなりかかっておりタイヤが完全に無くなってリタイヤしてしまった。この日、好調だった西山選手(NT1/O.S.)も3番グリッドから
スタートするものの、9分過ぎにはトラブルを抱えてリタイヤ。レース後半、横山正樹、高畑、藤井の3選手が1秒以内で熾烈なトップ
争いを繰り広げながらそのままゴールしグランドファイナルへ勝ち進んだ。
ワークス勢 惨敗!?
いつも緊張の空気が漂うグランドファイナルスタート直前、フラッグマンの旗先に皆が注目。スタートフラッグの振り上げと同時にけたたましいエンジン音で各車一斉にスタート。巧みなスロットルワークとステアリングさばきで第1コーナーを他のマシンと絡むことなく抜けていく各マシン。

まずは寺内、松田、佐橋祐也のオーダーでレースをリード。この3台は1.5秒内と、ほぼテールトゥノーズ状態。まずは8周目に佐橋祐也選手にアクシデントが発生。
バックストレート入り口でハイサイドし転倒。9位まで順位を落としてしまう。

このあと、高畑、藤井の両選手が3番手争いを繰り広げるが、15周目に藤井選手が転倒。トップを走行していた寺内選手も5分過ぎたあたりでマシンにトラブルが発生しトップから脱落し操縦台を降りてしまった。

これにより松田選手がトップとなり高畑選手、森選手が2番手、3番手にポジションアップ。そして4番手には横山正樹選手が浮上してきた。

スタート後7分の時点では、1/2から勝ち上がってきた島崎選手は7番手を走行。転倒により大きく順位を落とした佐橋祐也選手も、
すぐにコースに復帰して挽回を図っていたがマシントラブルによりストップ。復帰を試みるがなかなかエンジンがかからず、タイムを大きくロス。
一方、操縦台を降りてしまった寺内選手のマシントラブルは軽微だったのか、この時点でコースに復帰。しかしトップとの差は大きく、
もはやそう簡単に追いつける状況ではなかった。

レースの折り返し地点である10分を迎える直前、トップを走行していた松田選手と、高畑選手との差が4.6秒と開き始めた。
また、後ろでは森選手と横山選手が1.3秒差で3番手争いを繰り広げ、コース上の各コーナーで熾烈なバトルが繰り広げられていた。
驚くことに、1/4から勝ち進んだ植月選手がこの時点で6番手まで浮上。上位の様子を伺いながら、隙あらばとポジションアップを狙う。

2回目の給油時にピットに入るタイミングの差から森選手が一時トップになるが松田選手がトップをキープ。しかし、森選手側チームの給油スピードが速く高畑選手にタイムを詰める。

この時点で1位 松田、2位 高畑、3位 森、 4位 横山正樹

一方、トラブルを抱えてトップ争いから脱落してしまった佐橋祐也、寺内の両選手だが、両選手ともこの日の最高ラップを出しながら必死の追い上げ。
このままレースは進行し、各車最後の給油にピットへ入る。このとき、給油スピードの早い森チームが勝負に出た。トップを走行していた松田、高畑の両選手が先に給油に入るが、森選手はそのまま走行してトップを走行。
森選手がトップで3周走行し、給油に入る。この3周で築いたマージンでピットアウト時には高畑選手の前に出るという作戦だったようだが、森選手が給油を行っている間に高畑選手はすでにホームストレート入り口手前まで迫っていた。給油後に、ピットレーンを走行している森選手の横を高畑選手が通過!森選手は高畑選手の前に出ることは出来なかったが、この作戦により両者の差は1秒にまで詰まった。

残り時間が1分のところで、各車のタイヤの限界を迎えペースが一気にダウン。各コーナーでは完全にリアが流れ、立ち上がりではドリフト状態。暴れるマシンを必死で制さえ込みながら、松田選手がPGTC Round2にて初優勝を獲得!シリーズポイントリーダーとなった。
1/4メインから見事グランドファイナルに勝ち上がり、6位入賞を果たした植月選手には大会副委員長からベストパフォーマー賞が授与された。


Round1、Round2と、早くもポイントを大きく離されて後の無くなった佐橋兄弟をはじめとするワークス勢。
彼らの追い上げが次回のRound3での見どころとなりそうだ。

次回、Round3は7月12日 TRSサーキットにて!

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